30歳になったら全ての人に受けてほしい!噛み合わせスクリーニングとは
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多くの方が抱える「咬合病」
こんにちは。歯科医師の松浦直美です。
成人になってからでも、できるならば歯並びや噛み合わせを治したい、と思っている人は多いと思います。
おそらくその主な目的は、「見た目の改善」でしょう。糸切り歯が飛び出している「八重歯」や、歯がガタガタしている、もしくは隙間が開いていてカッコ悪いなど。
しかし、歯並びの改善は、見た目だけではなく、噛み合わせの改善にもつながるため、時間と費用が許せば、ぜひ検討してほしいオプションです。興味のある方は、ご自分の状態にどのような矯正治療が適しているのか、もしくは必要ないのか、ぜひかかりつけ歯科医師に積極的に相談していただきたいと思います。
その一方で、私が問題だと思っているのは、そのように「歯並びや噛み合わせを治したい」という意思がある方ではなく、「自分にはそのような希望(歯並びを治したい)や心配がまったく無いと思っている」にも関わらず、実際は噛み合わせに問題を抱える人たちです。
「咬合病」についての概念は、以前の記事に書いていますので、チェックしてみてくださいね。
咬合病の「芽」に自分で気づく
「咬合病」。耳慣れない言葉ですよね。
別の言葉で言えば、「(さまざまな原因による)噛み合わせの不具合」。
今では、歯科における2大疾患である「虫歯」と「歯周病」に続く第3の疾患として、大きな問題になりつつあります。
その「芽」は、歯科に行かなくても、自分で見つけることも可能です。
1。あごの関節(耳の前にある「ぴろぴろ」した「耳珠」の少し前方あたり)が痛む。または口が開きづらい。
2。歯がしみる
3。歯の根本がすり減ってくさび状にえぐれている
4。歯が欠けたり、すり減ってざらざらしている
5。前歯の尖端が薄く鋭くなったり、すり減って若い頃より短くなっている
6。歯科で被せた被せ物がよく外れてしまう
7。奥歯の噛み合わせ部分がすり減って茶色い色(歯の中の象牙質)がみえている。
これらはすべて、「咬合病」からきている可能性があります。
咬合病を早くみつける「噛み合わせスクリーニング」の意義
上記でお話しした通り、噛み合わせの問題は、自分でもチェックすることが可能です。
しかし、冒頭のとおり、問題は「何も気づいていない方」。
当院では、初めて来院される方や、定期メインテナンスに入ってからも心配な方は定期的に、「噛み合わせスクリーニング」を行っています。
医療にとって1番の敵は「患者さんの無知」。
ご自身の状況を客観的に、正確に伝え続けることで、安心していただける上、いざというときの治療相談がスムースにいくなど、多くの利点があります。そのことで、早期に簡単な方法で対応できたり、極端な民間療法に走ることを防いだり、不安をなくしたりできるのです。
虫歯のチェック、歯周病の検査といった今では当たり前の定期検査に加えて、無料で噛み合わせスクリーニング検査を行っているのはそのためです。患者さんが状況を知ってくれることで、自分たちのその後の治療が楽に進められるようになるためでもあります。
噛み合わせスクリーニングの実際
問診
上記の自己チェックに挙げた内容に心当たりがないか、お聞きします。さらに、噛み合わせが変わった感じがないか、顎の症状で、歯科医院や整骨院などで治療したことがあるか、などを伺います。さらに、食事や常飲している飲み物、間食なども簡単に伺うことがあります。
口腔外の診査
噛む時に使う筋肉(エラのあたりや、頭の横のあたり)の筋肉が異常に肥厚していたり、拘縮していたりしていないか、また、押した時に痛みがないかを触診します。
顎の関節を触診し、カクカクとしたクリック音や、異常な音がしないかを確認します。
ご自分の手の3本指(人差し指、中指、薬指)を縦にしてお口に入るかを確認することで、開口量をチェックします。
最後に、ゆっくり口を大きく開けたり閉じたりした時に、動きにズレがないかを確認します。
口腔内の診査
歯をみます。すり減りやかけ、すり減りがある場合はどの場所が、どのようにすり減っているのかを確認します。噛み合わせや歯軋りですり減っている場合もあれば、食べ物や飲み物の影響で独特な穴が空いたようなすり減りを呈することもあります。
次に、舌や頬の粘膜をみます。強い食いしばりがある方は、くっきりと上下の歯の間にあたる部位に線がついています。
噛み合わせの強いところにできる「骨隆起」とよばれる丸くて硬いでっぱりが、歯ぐきの部分にできているか確認します。
さらに、その方の噛み合わせの仕方を確認します。かちかちと噛んだり、噛んだまま下の顎を左右、前後に動かしてもらって、普段の噛み合わせの仕方をチェックします。
まとめ
噛み合わせスクリーニングの実際が、なんとなくわかっていただけたでしょうか。
時間もかからず、痛みも何もない簡単な検査ですので、ぜひ気軽に受けていただきたいものです。
そして、検査で異常がある、もしくは自覚症状がある場合は、より精密な検査を行ったり、簡単な介入(治療)から根本治療まで、症状に合わせた治療を始めるか、もしくは定期検診で経過を見ていくか、など相談して決めていきます。
多くの方は、何らかの咬合の問題を抱えています。しかし、その全ての方がすぐに大掛かりな噛み合わせ治療が必要になるわけではありません。
大抵は、経過観察をしていったり、症状が出た時に簡単な治療を行ったり、といったことで対応できます。大切なことは、時間を経て悪化していかないか、記録をとりながら、経過を見ていくこと。そして、理解が進み、自分の症状や噛み合わせの問題に向き合う準備ができた時に、必要に応じて、大きな噛み合わせ治療を行う方もいらっしゃいます。
そこにやはり、定期メインテナンスの重要性が大きく関わっていると、改めて感じるのです。
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