【審美歯科大学院】スクーリング5日目。全く歯を削らずに、歯の色や形を整える本物のミニマル歯科治療。
こんにちは。歯科医師医の松浦直美です。
先週から、イギリスのKings College Londonという大学が開催している、審美歯科のオンラインコース(Msc in Aesthetic Dentistry)の一環である1週間のスクーリングで、ロンドンに滞在しています。
久しぶりの海外、自炊のできる古いアパートホテルを借りて、日本から持ってきた食料や、近所のスーパーで買った食材などで、いつも通りのビールの晩酌をしながら、結構楽しくやっています。(初めの3〜4日ほどはひどい時差ぼけと、疲れや久々の英語ショックによる頭痛で、全然楽しめませんでしたけどね)
スクーリング5日目で、歯が真っ白になった知り合いを思い出す。
さて、そんなこんなで研修も早5日目。
「審美歯科」というと、〇〇美容歯科などでコマーシャルしている「セラミック矯正(歯を削ってセラミックを被せることで歯並びを治す」など思い出し、とにかく「高額で、ぴかぴかの真っ白な歯を製造する」治療だと思っている方も多いかもしれません。
さらには歯科医師の中にも、そういう治療が審美歯科だと思っていたり、実際にそういう治療を行っている方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、現在、審美歯科の基本は「Non-invasive」です。
つまりは、なるべく削らないこと。
今、若い人もそうでない方も、ルックスを気にする方が非常に多いのは、理解しています。
とはいえ、年齢が若い方は特に、「見栄え」のために歯を大きく削ることは本当によく考えてほしいのです。
私は、〇〇美容外科でシミを薄くするレーザー治療に行ったことがあるのですが、そこの待合室で流れていた同じ系列の美容歯科医院のコマーシャルに、目が点になりました。
真っ白な人工的な歯の、若くてかっこいい歯科医師が出てきて、歯並びの悪い方に、歯を大きく削ってセラミックを被せる治療をコマーシャルしていたからです。
さらにがっかりしたことに、その〇〇美容歯科に、一時期通っていたジムのトレーナー(まだ20代)が行ったらしく、多くの歯が削られて真っ白なセラミックになっていたのです。
「どうしてそんなことをしたの?」といっても、彼は「ローンを組んで歯を全て直した。矯正の方がいいのはもちろんわかるけど、短期間で綺麗になってとても満足しているし、歯に対する意識もすごく上がったよ」と生き生きと報告したのです。
本人は歯が矯正することなく短期間で綺麗になって、とても満足しているのです。そして、何よりも私たちが望んでいる「歯に対する意識」がすごく上がった。今まで行こうとも思わなかった定期検診にも、行きだしたとのこと。
それはそれで、いいことではないか。
・・・・とはいえ、私はイケメンの顔でにっこりと真っ白な歯を見せて笑うそのトレーナーさんの将来を思うと、心はすっきりと晴れませんでした。
歯の寿命は短くなってしまうだろうし、不必要に噛み合わせも変えられてしまった可能性も高い。
何事もなく、本当にしっかりと定期メインテナンスを継続し、70歳、80歳を迎えられるように祈るばかりです。
アイルランドの美人歯科医師に「ミニマル歯科治療」の究極を教わる。
話がそれましたが、最先端の審美歯科の基本中のキホン。
それは、とにかく、なるべく歯を削らない修復方法を選ぶこと。
歯のすり減りなどで噛み合わせを調整する必要がある場合は、なるべく削らずにコンポジットレジンなどの接着性の材料を要所要所に「足していく」方法で行うこと。
もちろん、「美」のために歯を大きく削ろうと考える人がいたら(特に若い方)、歯をなるべく削らない方法を一緒に模索すること。
これが、とても大切なことなのです。
本日の講師は、アイルランドで活躍する女性審美歯科医。
彼女のもとには、徹底して「削らない」治療をおこなう考えに賛同する患者さん達が列を成し、なかなか予約が取れないのだとか。
本来、歯を削って薄いセラミックを貼り付ける「ベニア」という治療法。これを、彼女は徹底して「無切削」で、セラミックではなく「コンポジットレジン」を使用して行っています。
もちろん、年齢や歯の状態によっては、しっかりと削りこんで治療することが必要な場合もあります。
しかし、削らないですむ治療法が適応になるのなら。やはり、その治療の選択肢を患者さんにしっかりお知らせするべきではないかと私も強く思うのです。
そのためには、やはり知識の習得とともに「練習」が必要。
はあ〜、いくつになっても、まだまだ勉強と練習が必要な、歯科の世界なのでした。
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