GBTメインテナンスを診療スタッフ全員でアップデート
こんにちは。歯科医師の松浦直美です。
今日は、ランチタイムに年に一度のGBTメインテナンス(当院で行っている定期メインテナンスのプロトコール)のアップデート研修をオンラインで受けました〜。
昼休みに、当院の5名の歯科衛生士と一緒にお昼ご飯をもぐもぐ食べながら聞くメインテナンスの話は、うーむなるほど。あらためて、GBTメインテナンスの良さを感じさせてくれました。
GBTメインテナンは、Guided Biofilm Therapy(ガイディドバイオフィルムセラピー) の略で、歯や歯ぐきの溝に巣食っている細菌の塊(バイオフィルム)を、効率よく、そして歯や歯ぐきを傷つけずに快適に取り除くための最新プロトコール。
何億とも言われるお口の中に浮遊している細菌(良い菌も悪い菌も含みます)は、硬い面(歯)にくっついて、ネバネバとした物質を出して仲間を集め、ドーム型のシェルター(バイオフィルム)を作り始めます。初めは「良い菌」も混じっていたバイオフィルムは、取り除かれずに時間が経つと次第に悪い菌(歯周病菌や虫歯菌)優勢にどんどん置き換わっていき、さらに成長して悪さを始めます。
浮遊細菌のうちは、うがい薬や抗菌薬などの「薬」でやっつけることができる悪玉菌も、バイオフィルムになってしまうとそれらでは決して取り除くことはできず、唯一の手段が「機械的な除去」であることは、このブログでも何度もお伝えしてきました。
メインテナンスにおいて、「歯を傷つけずに」バイオフィルムを除去するのに不可欠なのが、スイスEMS社の最高機種「エアフロープロフィラキシスマスター(下写真)」、そしてこの秀悦な機械を使って、バイオフィルムをコントロールするのが「GBTメインテナンス」です。
GBTメインテナンスについての詳しいお話は、以前のブログでお話ししていますので、ぜひご覧くださいね。
GBTメインテナンスの「正しいやり方」はもちろん、今日の研修を受けて、「3ヶ月ほどの頻度で正しいメインテナンスを受け続けることの大切さ」を改めて感じました。
今回、研修後に院内で共有した本当に歯を守る定期メインテナンスのポイントは、予防歯科を学ぶ医療従事者の中でとても有名で、脈々と世界中で読み継がれている論文をしっかり加味した下の三つ。
1. 定期検診は、「検診(チェックして診断する)」だけではなく、歯ブラシで取りきれないバイオフィルムを取り除く「メインテナンスクリーニング」を行わないと意味がない!(学校や会社の検診で安心していてはダメ!)
2. メインテナンスクリーニングは、極力歯を傷つけない機材、技術を使う!(歯を傷つける機材、技術じゃダメ!)
3. 歯ブラシの上手、下手はあまり気にしない!歯磨きが下手な人でも、定期的に「来院してもらってポイントを教わり続ける」ことで、歯周病や虫歯の発生は大きく抑えられる!(とにかく、歯科衛生士に会いに来なきゃダメ!)
いかがですか?
なんとなく「歯科医院に言われたから」「テレビで歯科に行けと言っていたから」来院している素直な方も多いのですが、そのような方々に多いのが「なんとなく来なくなる」こと。
定期メインテナンスに通う「理由」がわかれば、「そういえばあの時用事ができてキャンセルしてから、3年も歯科に行ってないなあ・・・」ということは無くなるのではないかな、と思いますよ〜。
実際、「本当に3ヶ月間隔でなければならないのか」については、次回のブログでお話ししたいと思いますが、まずはわかりやすい3ヶ月間隔で、歯科に通ってみるところから始めるのが間違いない通い方です。
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【参考文献】
Axelsson P, Nyström B, Lindhe J. The long-term effect of a plaque control program on tooth mortality, caries and periodontal disease in adults. Results after 30 years of maintenance. J Clin Periodontol. 2004 Sep;31(9):749-57. doi: 10.1111/j.1600-051X.2004.00563.x. PMID: 15312097.
Ramfjord SP, Morrison EC, Burgett FG, Nissle RR, Shick RA, Zann GJ, Knowles JW. Oral hygiene and maintenance of periodontal support. J Periodontol. 1982 Jan;53(1):26-30. doi: 10.1902/jop.1982.53.1.26. PMID: 6948947.
Emler BF, Windchy AM, Zaino SW, Feldman SM, Scheetz JP. The value of repetition and reinforcement in improving oral hygiene performance. J Periodontol. 1980 Apr;51(4):228-34. doi: 10.1902/jop.1980.51.4.228. PMID: 6928953.