2023年の終わりに、定期メインテナンスの豊かさを考える
2023年も終わりを迎えようとしています。来年4月に医院の移転開業を控え、13年間お世話になったこのテナント医院で迎える最後の年末年始を、感慨深く迎えています。
1年前の2023年のお正月。
お休みに入った途端、なんと夫婦二人でガタガタと体調を崩し、楽しみにしていた休日も、連日近所の温泉通いの年寄り夫婦状態で年が明けました。
普段、細かいところを凝視して、神経を使う仕事をしているせいか、定期的に腰や肩を痛めているのですが、やはり休みに入ると気が抜けるのか、今回は二人一緒に、こっぴどく症状が出ました。
そういえば昔。
父が亡くなった後、一人で中学教師として私の大学生活を支えてくれていた母は、お正月になるとよく体を壊し、休日の救急病院にお世話になっていたのを思い出します。
長い2学期の総括、試験、そして成績評価など、学校の先生のお正月前の忙しさは大きかったらしく、どっと疲れが出ていたのでしょう。母はその頃から、年賀状を書くのもいっさいやめました。
さて、思い出話から現在に戻りましょう。
歯科医師が体を壊しやすい原因の一つには、やはり「過労」があるかと思います。
歯の治療費が高いのか安いのか。
それぞれのお口の状態(これが一番)や、経済状況、そして歯や健康に対する意識の違いによって、感じ方は人それぞれでしょう。しかし、他の先進諸国に比べて、日本の国民保険の「診療報酬」は驚くほど低く抑えられていることは紛れもない事実。
その中で、設備を整え、専門資格を持った人間を雇い、安全に歯科医院を運営していくには、ある程度の人数をスピード感を持って診ていく必要があります。しかも、他の国より安いんだもん!などといって手を抜くことは許されず、きちんとした治療をしなければ、あっというまに患者さんは離れていってしまいます。
患者さんにとっては安くて良い治療を受けられる、優れたシステムに見えるかもしれません。
しかし、治療に時間を割かれ、患者さんとゆっくり話ができる時間を取れないことも多く、歯科医師もスタッフも疲弊します。患者さんは自分の歯の価値に気づくチャンスを失ったまま、「何かあったら歯医者にいけばいい」的な受診を繰り返します。
その「悪循環」のようなものを断ち切って、患者さんにも、歯科医療従事者にも大きな光となるのが、「定期メインテナンスの普及」だと思っています。
定期メインテナンスを受けている患者さんは、治療が必要になることは少なく、必要になっても「ちょっとした」治療で済むことが多いです。当院でも、ずっと定期メインテナンスの啓蒙、そして普及に取り組んで参りましたが、一昨年の半ばあたりから、とうとう「メインテナンス」の予約患者さんの数が「治療」の患者さんより多くなり、今年は来院者の3分の2がメインテナンス患者さんになりました。
それに伴って、あきらかに歯科医師による治療部門がゆったりしてきたのとともに、患者さんとゆっくり治療の説明できたり、世間話などができる時間が増えたと感じています。
メインテナンスで健康への意識が高まる方はとても多く、さらにじっくり話ができるようになることで、何か歯科治療が必要になった時には、もっと良い結果が出せる「保険外治療」を選んでもらうことも多くなります。もちろん、保険内での治療を選ばれた方にも、しっかりと時間をかけて治療できることで、さらに信頼してもらい、その後もしっかりと定期メインテナンスに通っていただけるのです。
さらに言えば、メインテナンスに通っている方のお口の中は、本当に綺麗で汚れも少なく、歯ぐきも引き締まっています。まさに患者さん、歯科医院ともに「WinWin」の関係になれると確信します。
まつうら歯科クリニックは、来年4月に「デンタルスクエアもりおか青山」として、再出発します。
このWinwinの関係の価値を見出してくれる患者さんが、より通いやすくなるような医院を目指しています。
2024年も、よい年になります様に。
みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。