【プチプラ審美歯科】将来のプチプラ審美歯科生活のために「リセット」の時期を定めよう。

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

前回のブログで、年金5万円で心身ともに豊かに暮らしているシニアブロガー紫苑さんの著書「71歳、年金5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活」(大和書房)をご紹介しました。

本の内容はもとより、すべて「プチプラ(プチプライス:費用が安いということを表す俗語)」で生活している著者の紫苑さんが、「歯のメインテナンス」にはしっかりと毎月通っているというお話に、感銘を受け、プチプラでできる基本の審美歯科としてまとめた内容です。

しかし、気をつけていただきたいことがあります。

紫苑さんのような「プチプラ」歯科生活を送るためには、その前の「準備」が必ず必要です。

Contents

「歯科に通うのは定期メインテナンスだけ」を達成するには

紫苑さんが年金5万円で豊かな生活を遅れるのには、圧倒的な理由があります。

それは、「家賃がかからないこと」。

ずっと賃貸生活だった紫苑さんは、たまたま見つけた中古の一軒家を思い切って現金で購入しています。おかげで、貯金は大きく減ったけれど、今後家賃や管理費、修繕積立金の心配はない。

そして、以前は水道やお風呂場が壊れたりすると慌てて業者さんを呼び、高い修理料金を取られていたのに、最近は心配なところがあれば何か不具合が出る前に、チェックしてもらって対応する、という大きな余裕が出てきたそうです。

まさに、長期にわたって歯科での「プチプラ」を実現するポイントも、ここにあります。

紫苑さんが「家を購入する」という決心をしたのと同じく、歯科治療でも、どこかの段階で、「大きな決断」をした方が良い場合も、少なからずあるのです。

そこでお口の中の状況を一度「リセット」しておけば、将来大きな問題が起こることは少なく、歯科に行くのは気心の知れた歯科医師や歯科衛生士にメインテナンスしてもらうときだけ、という素晴らしい関係が、出来上がるのです。

現役時代に終えておきたい。歯科での「リセット」とは

では、どのような「決断」をすれば、リセットができるのでしょうか。

「決断」と申しましたが、たいしたことではないことも多いのです。それでも、今まで歯科には「歯が痛くなったときだけ」「銀歯が取れたときだけ」行っていた、という方にとっては、まあ大きな決断になるのではないかと思います。

虫歯リスクをリセット、虫歯のリスクが高い方は積極的な予防歯科を

今まで、虫歯になって治療したことが多い、もしくは虫歯になりやすいと思っている、という方は、まず歯科医院で精密検査を受けましょう。現在も治療が必要な虫歯があるのかを、拡大鏡やレントゲン写真で精査します。

虫歯が見つかったからといって、すぐに治療するわけではありません。痛みがあったり、明らかに治療が避けられない場合は、早めの治療を計画しますが、はっきりしないものや、ごく初期の表面のみの虫歯と思われる場合は、口腔ケアを続けながら経過を見ていきます。フッ素製剤などを使用した適切な口腔ケアで、初期の虫歯は進まないことも多いです。*虫歯治療の順序を書いた記事はこちら↓

しかし、虫歯のリスクが高いと思われる方は、できれば唾液検査などの「虫歯リスク検査(保険外)」を受け、積極的な虫歯予防処置を始めることが大切です。

歯周病をリセット。早いうちに治癒または「寛解」に持っていっておく

歯周病は、定期メインテナンスの恩恵を最も受けられる症状です。ただ、定期メインテナンスに辿り着くまでに、しっかりしたステップを踏んでいるかが大切。

症状によりますが、歯周病の治療は、回数や時間がかかります。(保険外診療で、この回数を減らすやり方をしてくれる歯科医院もあります)。

一般的に初期の歯周病の方で2〜3回、中等度以上の方であれば7〜8回ほどの通院が必要になることもあります。

しかし、その「初期治療」にしっかりと通って、検査で「治癒」や「寛解」が認められれば、あとは状況に合わせた頻度で定期メインテナンスに入ることができます。

失った歯をリセット。1本失ったらすぐに対処

親知らず以外の歯を失ったら、何らかの形で修復しておくことはとても大切です。

失った歯を放っておくことで、他の歯に負担がかかってドミノ式に歯が悪くなる、というのはとてもよくあることです。歯を失った原因が歯周病であれば、他の歯の歯周病の治療もしっかり行わなければなりません。

失った歯を修復する方法はたくさんあります。ご自分の状況に合わせて、きちんと修復しておきましょう。

歯並びをリセット。できれば歯並びは直しておく

これは費用がかかるのでお勧めしにくいのですが、実は一番やってほしいことかもしれません。

若いうちの矯正治療は、歯並びを治して見た目を良くしたい、という理由がほとんどではないかと思います。

しかし、歯並びが悪いまま歳を重ねると、そこに虫歯ができやすかったり、歯周病になりやすくなったり、また噛み合わせが悪く特定の歯やアゴに負担がかかったりと、良いことはあまりありません。

見た目の上でも、歯並びが悪い場所は着色や歯石がつきやすく、不潔なイメージを持たれてしまいます。実際、メインテナンスをしていても、歯並びの悪い部分はどうしても着色を完全には落とすことができません。

矯正治療で思い切って歯並びをリセットしておく、という決断も、考えていただくに値するのではないかと思います。

まとめ

定期メインテナンスに一生懸命通っていても、しっかりとした上記の「リセット」ができていなければ、なかなか通院が「メインテナンスだけ」というふうにはならないのが現実です。

時間と費用を考えて、今からどんな「リセット」ができるのか。

人生の後半戦が見えてきたら、全ての方に一度考えてほしいな、と思っています。

 

 

 

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