【白い歯相談室】ホワイトニングをあきらめないで!知覚過敏への対応
こんにちは。歯科医師の松浦直美です。
ホワイトニングという言葉を聞いたことがある方は多いかと思いますが、そのやり方は実にさまざま。歯科医院で行うホワイトニングや歯科医院の薬剤を使ったホームホワイトニングもあれば、街角で無資格のスタッフのもとでも行えるセルフホワイトニング、それに歯磨き剤など、さまざまな「ホワイトニング成分」の入ったグッズを使用したご自宅でのホワイトニング。ホワイトニングの種類をまとめた記事はこちら↓
この中で、最も短期間で効果がでて、長持ちする方法といえば、やはり「歯科医院での定期的なホワイトニング(ホームホワイトニングを含む)」です。しかし、この時悩まされることがあるのが
「歯がしみる〜!!」
という知覚過敏の症状。ホワイトニングをここであきらめてしまう方もいらっしゃいます。しかし、ホワイトニングは歯を傷つけずに明るくし、清潔感を高める上でとても効果的です。今日は、ホワイトニングをあきらめないための、知覚過敏への対応法についてお話しします。
Contents
歯科医院で行うホワイトニングの特徴
歯科医院で行われるホワイトニングの特徴といえば、「過酸化水素」の使用です。歯の表面だけではなく、内部に染み込んだ着色物を漂白できるので、効果が高くなります。
数あるホワイトニングのうち、歯科医院で行うホワイトニングの種類とその特徴を先日記事にまとめています↓
とても高いホワイトニング効果がある過酸化水素ですが、この成分によって歯がしみる「知覚過敏」を起こす方も少なくありません。
虫歯じゃないのに歯が痛む?知覚過敏(ちかくかびん)とは
普段、冷たいものや、果物などが歯にしみて困っている方は少なくないと思います。歯がしみる〜!!という方にコレ、などどいう歯磨き剤のコマーシャルを見ることも多く、その症状に悩む方の多さがうかがわれます。
知覚過敏とは、正確には「象牙質知覚過敏(ぞうげしつちかくかびん)」といわれ、本来歯の内部にあって、硬くて美しい「エナメル質」に覆われて守られているはずのぞうげ質が、何らかの原因で口腔内に露出することで、刺激に対して敏感になってしまう症状を言います。
ぞうげ質が露出していても、特になんの症状も訴えない方も多いのですが、この露出部位が冷たいものや歯磨きなどで強くしみてしまう知覚過敏の症状を呈している方は、人口の30~60%にものぼると言われています。(宮崎 真至:ホワイトニングニュージェネレーションより)
ぞうげ質が、せちがらい世の中(口腔内)に晒されてしまう原因は多くありますが、乱暴な歯磨きで根元のぞうげ質が出てしまったり、歯ぎしりやくいしばりで表面のエナメル質がすり減ってしまったり、という状況は最も多い原因といえます。
ホワイトニングでも、知覚過敏がおこる?
歯科医院でホワイトニングを試してみたけど、歯がしみてうまく続けられなかった、という経験をした方は少なくないのではと思います。
上記でお話した知覚過敏の症状が、すでに出ている方はホワイトニングでも歯がしみる可能性が高いです。
普段知覚過敏の症状がない方でも、ホワイトニングをきっかけに症状が出てしまうことがあります。ホワイトニングを始めた際に何らかの知覚過敏が10〜50%ほどの方に起こると言われているため、歯科医院側や、セルフケアでの予防策が必要になります。
快適なホワイトニングを受けるために
知覚過敏でホワイトニングを断念するのは、残念なことです。定期メインテナンスと、ホワイトニングを並行して継続するのは、健康面と美容面双方からみてもとても有益なことですので、できれば簡単に諦めて欲しくないな、と思います。
当院では、ホワイトニングによる知覚過敏をできるだけ抑えるために、下記の対策をとるようにしています。
歯科医院が気をつけること
1。知覚過敏が起こりやすい方なのかを確認する(すり減り、根元の削れ、エナメル質のひびなど)
2。心配な部分は前もって塞いでおくなどの処置をする。
3。ホワイトニングの後に知覚過敏の薬や高濃度のフッ素を塗る。
4。ホワイトニングの前に専用の知覚過敏防止剤(ウルトライーズ:歯科医院専用)を使用する。
患者さんに気をつけてもらうこと
1。普段知覚過敏がある場合は歯科医院に知らせる。
2。ホワイトニングは「継続」がポイントであることを理解し、決して焦らない!
(ホームホワイトニングは、一度マウストレーを歯科医院で作れば、その後もおジェルのみを購入して継続することができます。その際、ネットなどで濃度の高いジェル(過酸化尿素15%、30%など)を購入して使用する例がありますが、これは危険です。濃度が高ければより白くなる、というものではなく、あくまでもホワイトニングの成功の秘訣は「継続」です。低濃度(10%)で、長く続ける方が効果も歯へのダメージもなく、快適で、結果として効果が高いのです。)
3。ホームホワイトニングを始めて知覚過敏が発現したら、一度中止して、数日後に再度行う。それでも気になる場合は歯科医院に相談を。
4。ホームケアとして、オフィスホワイトニングやホームホワイトニングのあとに、「シュミテクト」などの知覚過敏用歯磨き剤や、CPP-ACPという成分を含むパック剤(MIペーストという名前で売られています)を使用する。
まとめ
ホワイトニングと知覚過敏の関係が、少しわかっていただけたでしょうか。知覚過敏は、ホワイトニングではよくみられる症状ですが、よほど重症の方でない限り、適切なケアをしながら行うことで、ホワイトニングを続けることは可能です。
ホワイトニングは、審美歯科の基本の基本。ここをセラミックに変えようかしら、と思っていた方が、その前にホワイトニングをしてみましょう、という私のアドバイスに従っていただいたことで、「このままで十分だわ」となることも、多々あります。
また、その後にセラミックなどを被せる際にも、周りの歯や、セラミックを被せる予定の歯の内部を漂白しておくことで、より美しい修復が可能になります。
知覚過敏で、ホワイトニングをあきらめないで済むように。ちょっとした知覚過敏回避の「コツ」のお話でした。