【ブレスケア入門】キレイに歳を重ねたい女性には必須のマナー!!〜40代からの口臭対策:プロローグ〜

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

対人関係において、女性なら誰もが気になる人に言えない悩み。。。。といえば、「口臭」を挙げる人も多いのではないでしょうか。

自分ではわかりにくく、指摘されにくい。

または逆に、接近して接することの多いお子さんやお孫さんに、「口臭い!」とハッキリ言われて、深刻に悩んでいる女性も少なくありません。

口臭は、多かれ少なかれ、誰もが気にしている症状なのに、その正しい対処方法や、相談できる場所を知らない方はあまりにも多い。

歯科や内科に行って相談しても、「別に臭いませんよ、気のせいですよ」などと言われて、モヤモヤしている人も多いはずです。

主に40代以上の、「これからもずっと綺麗でいたい女性」向けにブログを書き進めてまいりましたが、30代後半から増え始め、40代でピークを迎えるという「口臭への不安」を抱える方のために、本日からは数回にわたって、この「口臭」について、紐解いていきたいと思います。

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口臭(bad breath, Halitosis)とは

口臭は、その名の通り、口の中からの臭い。

人間なんだから。なんらかの体臭は、みんなあるはず。

でも、口臭については、原因を探すことで、対応が可能なことも多く、口臭の治療を専門に行っている歯科医院や、大学病院などの外来も存在します。

まずは、自分の口臭が「治療が必要(可能)なものなのか、それとも治療する必要はないものなのか、と見定めることが大切です。

口臭には、大きく分けると以下の二つしかありません。

生理的口臭

いわゆる、「誰にでもある、または起こり得る」口臭です。ざっとみて、下記のようなものが挙げられます。

起床時口臭
緊張時口臭
空腹時口臭
女性ホルモンの影響による口臭(思春期、妊娠、出産期、更年期、生理周期など)

一番顕著だと思われるのは、起床時口臭という朝起きた時の口臭。ご自分の匂いのほかに、お子さんのお口の匂いを気にするお母さんも、においが気になるのはこの朝起きたばかりの時、ということが多いです。夜の間は唾液の分泌が減り、口の中が乾燥状態。匂いの元を出す「嫌気性菌(空気を嫌う細菌)」が活発に活動します。

そのほかに、お腹が減ってくる食事の前、疲労が溜まった時にも、口が乾いて同じ状態になります。よく、「口がカラカラに乾く」などと表現される「緊張した状態」の時にも、口臭は強くなると言われています。

虫歯や歯周病などの匂いの原因が他に見当たらず、生理的口臭と思われる場合は特に治療は必要ありません。

ただ、生理的口臭であっても、絶対出したくない!と思う方は、下記に紹介するブレスケアを意識してみてください。ちょっとしたことで、驚くほど生理的口臭を軽減することができます。

生理的口臭とは少し意味合いが違いますが、ニンニクやアルコールなど、匂いの強い食品をとった後の匂いも、一時的なもので特に治療の必要はありません。

ただ、タバコの匂いは口の中や体にしみついて取れません。タバコも、禁煙が理想ですが、どうしても難しい方は本数を減らし、ブレスケアを意識的に行うことで、タバコによる口臭を大きく減らすことが可能です。

病的口臭

口臭を起こす明確な原因があり、治療が必要な状態です。

自分が気にしている口臭が、生理的なものなのか、それとも病的なものなのか。

一口に病的口臭といっても、その原因はさまざま。どんなものがあるのか、みてみましょう。

1。虫歯や、古い被せ物など
虫歯は、細菌によって歯が溶かされ、進行すると穴があいてきます。そこに食べかすが溜まってしまうと歯ブラシでは取れにくく、腐敗して強烈な匂いを発していくのは、想像にも難くないでしょう。虫歯以外にも、古い被せ物が合わなくなっていたり、歯と歯の間に隙間が空いて、食べ物が挟まりやすくなっている場合にも、同じような状況が起こります。

2。歯周病
口臭の原因で最も多いとされるのがこの歯周病です。歯周病は、歯周病菌の感染による感染症。嫌気性菌(酸素を嫌う菌)の代表である歯周病菌は、代謝の過程で硫化水素やメチルメルカプタンといった口臭のもとを作り出します。

3。ドライマウス
なんらかの原因で、唾液が少なくなってしまう「ドライマウス」は、40代以降の女性にとても増えてきます。本当にドライマウスなのか。もしそうなら、どのような対処方法があるのか。知ることが大切です。

4。舌苔(ぜったい)
舌の上の細菌も、口臭の原因になることがわかっています。ただし、舌のケアにも、適切な知識が必要です。

5。内科的、耳鼻科的疾患
消化不良があると、食べたものが胃や腸で停滞し、異常発酵することで腐ったような臭いの口臭が発生することがあります。肝機能低下では、毒素が分解されないためにアンモニアの臭いがすると言われています。さらに、糖尿病では、アセトン臭という特徴的な甘酸っぱい臭いがします。また、耳鼻科の疾患、とくに蓄膿症や、膿栓(細菌や食べ物のかすが扁桃腺についた小さな白い玉状のもの)があると口臭が起こることがあります。歯科での対策を行っても改善されない、もしくは明らかな消化不良などの症状や、上述の特徴的な口臭がある場合は、内科や耳鼻科の受診を考える必要があります。

これらの病的原因は、歯科単体で対処できる、もしくは医科との連携で対処できるものがほとんどです。はっきりとした内科的、耳鼻科的疾患がない場合は、まずは1〜4までの、歯科疾患への対応を優先させることで、ほとんどの病的口臭は改善されます。

生理的口臭も寄せ付けない。いつでも誰でもできるブレスケアとは

治療の必要がないとされる「生理的口臭」に悩まされる方はとても多いです。

医師や歯科医師に訴えても、なかなか相手にしてもらえません。

世の中にはいろいろな「口臭対策グッズ」のようなものが出回っていて、何を使ったら良いのか、迷う方も多いでしょう。

ここでは、私が現段階でもっとも効果的と思う生理的口臭に対するブレスケアをご紹介します。

1。まずは、あなたの口臭が本当に「生理的口臭」なのかを確かめる
虫歯や歯周病、古くて劣化している詰め物や修復物など、バイ菌のかたまり「バイオフィルム」が溜まってしまう足場がないのかを、確認。
そして、ドライマウスがないのかも、口腔内の視診や、唾液検査などで診断がつきます。

2。歯磨きは1日2回にとどめる
口臭を気にする方は、一日に何度も歯磨きをしたり、舌をごしごし磨いたりして、かえって「口腔乾燥」を引き起こして口臭を悪化させていることが少なくありません。歯磨きは、生理的口臭が最も強くなると言われる「起床後すぐ」と、「夜寝る前」の2回、丁寧に行います。

3。食事の後は水を飲んで舌の上の汚れを取る
歯磨きは1日2回。だから、食事の後の歯磨きは要りません。ただ、おとなになると、歯と歯のあいだに物が挟まりやすくなるため、その場合はトゥースピックやデンタルフロスで取り除きます。また、食後に水を口に含んで、舌を上顎にこすりつけたり、軽く回して、舌の上の汚れを取ることは、口臭の予防にとても効果的です。後述するガムをこのタイミングで使うのもおすすめです。

4。水分をとる
とにもかくにも、乾燥を防ぐことが生理的口臭を防ぐ一番の対策。唾液の生成にも、水分は不可欠です。朝の歯磨きの後、毎回の食事の後、10時と3時、など、時間を決めて水分を取るようにしましょう。

5。ガムを噛む
唾液促進のためガムを噛むことはとても良いとされています。ただ、ガムならなんでも良いというわけではありません。
虫歯予防効果の高いキシリトールが高配合(50%以上)されていて、糖質が0のものを選んでください。ガムを噛んで丸めたら、コロコロと舌の上で転がすことで、舌苔を取り除く効果もあります。なるべく長い時間(15分以上)、噛んだりころころしたり、を繰り返してください。市販のガムの中では、

「ロッテキシリトール」
「グリコ ポスカ」
「明治 キシリッシュ」

は、上記の条件を満たしています。同じメーカーでも、歯科医院専売のガムはキシリトールの含有量など、市販の製品とは中身が異なりますので、できればそちらを購入するのがおすすめです。また、口臭予防に特化したガム「エクセレントブレス ブレスコントロールガム」は、ガムとしてはかなり高価ですが、長い時間噛み続けることができる特殊な天然ガムベースを使用しており、半日噛んでいても大丈夫です。

6。ClO2(2酸化塩素)製剤を利用する
口臭専門クリニックでも使用されている息を「無臭化」するための製剤です。口腔内に酸素を供給し、嫌気性菌の活動を一瞬で抑えます。「プロフレッシュ」や「セラブレス」などの名前で、売られています。口臭専門クリニックの歯科医師による「処方」が必要な高濃度の製品もありますが、生理的口臭対策であれば一般の方でも通信販売やロフトなどの店舗で購入できるものでも十分に効果を感じられると思います。

まとめ

口臭について、その原因として考えられること、そして「生理的口臭」への対処方法をご紹介しました。

生理的口臭が起こる場面というのは、絶対口臭をだしなくない場面と一致することが多いですよね。たとえば緊張の初デート、仕事で大事な人に会う前、などなど。そんな時の口臭対処方法を知っておくことは、大きな安心につながるのではないでしょうか。

次回からは、生理的口臭ではない、病的口臭についての診断、対応方法について、さらに詳しくお話していきます。
次回の「ブレスケア入門:歯科の病気編」は、こちらからどうぞ↓

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