こんなに素晴らしい!日本の予防歯科 〜第128回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖

「歯科医師夫婦のつれづれ手帖」は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。2024年4月の移転後も、なんだかんだ言って続いています。
ルールは2つだけ。
ルール1 必ず毎月、どちらかが書く
ルール2 内容は、歯科治療以外のこととする(時々ルール違反あり)
第128回 こんなに素晴らしい!日本の予防歯科
皆さんに質問です。
日本の歯科医院で受けられる予防歯科(ここでは定期メインテナンス)の診療費用はいくらでしょう?
当院に長く通っていただいている方はご存知ですよね。
そう、保険の定期メインテナンスを受ける3割負担の方の費用は約3,500円。
虫歯になりかかっている部分にフッ素などを塗り込んで経過を見る処置を行うと、プラス300円 ほど。
このくらいの負担で、プロの歯科衛生士によるクリーニングを受け、虫歯や歯周病の予防ができる。
しかも、 最新の歯を傷つけないメインテナンス機器「スイス製エアフロー」や超音波機器
そして丁寧な手作業を駆使して
セルフケアの指導を受けながら、です。
今回は、これが「当たり前ではない」ことを、皆さんにぜひ知っていた だきたいと思い
コラムを書いています。
先月号で、2月に英国に滞在して歯科の活動を始めた話を書きました。

その際、視察を兼ねて現地の評判の良い歯科医院で、検診とクリーニングを受けてみました。
女性歯科医師による丁寧な問診と検診、レントゲン写真、お口のなかの写真撮影
歯周病検査と、結果説明。
ここまで で約40分。
この段階までは、うちの歯科医院とあまり変わりありません。
しかしそこからが、「!!」の連続でした。
診察の後は、今までの丁寧な診察が嘘のようなあっというまの歯石取り とクリーニング,約3分で終了。
虫歯になりかかっている歯の指摘があったにも関わらず
歯磨きの指導もなく、甘い味のフッ素を塗り、診療は終了。
あまりの簡単さに唖然 としてしまいました。
最後が、ドキドキのお会計。
HP をみると、初診とクリーニングで、およそ 150 ポンド(3万円)と書いてあり
日本に比べたら驚くほど高いけど、ロンドンでは普通の値段。
痛い出費だけど経験のために仕方ない、とドアをくぐったのですが
実際の請求書はさらに想像を超えていました!
歯科医師による診察料やレントゲン
フッ素塗布などの費用が加算され
請求は 400ポンド(8万円)超え!
思わず二度見してしまいました。
物価が違うとはいえ、英国の費用が「不当に高い」のか。
日本の費用が「不当に安い」のか。
私は、ここまで費用が違うと、どちらも「不当」と言っていいような気がしています。
とはいえ、患者さんにとっては
日本では丁寧な診療を安価で受けられるのは幸せな事実。
皆様には、「私は海外で歯科診療など受けないから関係ない」、などとは思わずに
この費用でここまでの診療が受けられることの素晴らしさを知ってもらいたいのです。
そして、日本人であるこの権利を放棄せずに
数ヶ月に一 度のメンテナンスの時間を大切に
よい習慣を続けていただけるといいなと思っています。