How old is old? 見た目年齢に、「オールド」は関係なし!

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

現在、英国Kings College Londonの審美歯科大学院で学んでいる「歯を守りながら美しく修復する」ためのエッセンスを、ブログで紹介しています。

急速なAging society (高齢化社会)に向かっているのは、どの先進国も一緒。

今回は、外見の美しさを決める大きな要素である「歯」が、歳を重ねても美しくあり続けることはできるのか、というお話を、大学院で目にした論文をもとに、紐解いていきたいと思います。

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How old is old?

人はどんなに歳を取っても、「美しいスマイル」を望んでいる、という研究の結果があります(*1.2)。当たり前をいえば当たり前のことですよね。

でも、歳をとったから仕方ない、と諦めている方が多いのも事実なのです。

ところで、いったい何歳になったら、「オールド」いわゆる「歳を取っている」ということなのでしょうか?

40歳?50歳?それとも、「後期高齢者」と分類される75歳でしょうか?

実年齢に関わらず、いくつになっても若々しい人がいる一方、若いのに年寄りくさく見えてしまう方もいらっしゃいます。

人の外見を決める要素は本当にさまざまあり、姿勢や体型、歩き方などの「体全体の若々しさ」、そして醸し出している自信のあるオーラやイキイキした表情などの「内面から滲み出る若々しさ」は、その際たるものでしょう。

しかし同時に、やはり外見の「看板」であるお顔も、その人の人となりや、生き方を反映するとても重要な要素です。

美容家の小田切ヒロさん著「捨てる美容」を紹介した以前のブログでもお話ししましたが、年齢を重ねた方が気を使うべきポイントとして、小田切さんが強調していた「眉」のほかに、私はやはり、「歯」が大きく挙げられるのではないかと思います。

口元の見た目、すなわち「歯」の色や形は、その人の性別、年齢、またはさまざまなバックグラウンドに関わらず、人がその顔を「魅力的だ」とジャッジするのに大きな影響を与える、と言われています。(*2.3)

歯が汚れていたり、口臭がするなどの「エチケット違反」を回避するための歯のケアはもちろんですが、さらに歯の色や形が美しくなることで、大袈裟ではなく、その方の人生を変えるほどの大きなインパクトをもたらすこともできるということなのです。(写真:dentistryoscaars インスタグラムより)

そしてそれは、上記のような大掛かりな治療だけではなく、意外にもホワイトニングや、コンポジットレジン(*)などの比較的安価で、歯をあまり削らない優しい治療によって、実現することも、現代では可能になっています。(参考:下写真)

歯の隙間が気になる

ホワイトニングで歯列全体を白く明るくした後に、コンポジットレジンによる歯を全く削らない方法で隙間を埋める治療を施しました。

歯科を味方につけた「健康」と「美しさ」に多くの方が恩恵を受けられるようになれば、「何歳以上が高齢者?」などというナンセンスな質問は、誰もしなくなることでしょう。

歯と歯の間の隙間に大きな劣等感を抱えていた40代女性

歯を全く削らないコンポジットレジンで自然な形で修復。笑顔が本当に素敵に変わりました。歯を削っていないので、歯が弱ることはありません。

「美しい歯」の現代のコンセプト

いわゆる「整形手術」ではないのに、歯並びを直したり、ホワイトニングで歯を白く明るくしたり、セラミックやコンポジットレジンで歯の色や形を変えることで、人生を変えるほどの劇的な外見の変化をもたらすことができるのが、歯科のすごいところだと、常々思っています。

とはいえ、必ずしもすべの方が、このような治療をするべきだと思っているわけではもちろんありません。

美のコンセプトは時代により変わっていきますし、どのようなスマイルが美しいと思うかも、人によって違います。

また、見た目の問題というよりも、食事を楽しむためのしっかりした噛み合わせや、虫歯や歯周病を予防するために、歯並びや歯の形を治すことを希望される方もいます。(*しかし結果として、噛み合わせを直せば見た目も大きく改善します。)

当然のことではありますが、審美歯科を学ぶ歯科医師のカリキュラムでも、患者さんが何を望んで歯科医院にきているのかを時間をかけて理解し、歯科医師としての自分の価値観や、美のコンセプトを押し付けてはいけない、と繰り返し教えています。

ちょっとした歯のねじれや隙間が気になって仕方がない方がいる一方、笑うと歯ぐきがでて、歯の色がくすんでいても、自分や家族は自分の笑顔が大好きだという方もいらっしゃいます。

年齢を重ねたら特に、歯のケアには最大限の気を使って欲しい。しかしそれは、必ずしも白くて真っ直ぐな「ゴールドスタンダード」な口元にしなければならないということではありません。

しかし、歯のケアをしっかりと続けていただきながら、気になる部分のちょっとした修復などで、自分らしさを残したミニマルな治療など、個性的な「美」にも、どんどん挑戦していける今の時代。

ちょっとした上の歯の隙間。愛らしくもありますが、本人が「いやだ」と思っていれば、それは治療することができます。ファーストチョイスは矯正治療ですが、費用や時間の問題で難しい場合は、コンポジットレジンによる歯を削らないミニマル治療があります。

コンポジットレジンではの隙間を自然に修復。継ぎ目もわからないのが現代の審美歯科技術です。

知らなかった、ということがないように、歯科の情報にも、時には耳をすましてみましょう。

もちろん、ミニマル治療だけではなく、まさに人生を変えるほどの変化、「スマイルデザイン」をお求めの方も、歯科医師に相談してみて下さいね。

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1.York TJ, Holtzman J. Facial attractiveness and the aged. Spec Care Dentist. 1999;19(2):84-8.
2.Adams GR. Physical attractiveness research. Human development. 1977;20:217-239.
3.Morley J. The role of cosmetic dentistry in restoring a youthful appearance. J Am Dent Assoc. 1999;130(8):1166-72.

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