【ミニマル歯科治療】ちょっとずつの足し算で、劇的な変化をもたらす。Tooth Tweakment とは。
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Tooth Tweakment とは?
こんにちは。歯科医師の松浦直美です。
以前こちらのブログで紹介した「Tooth Tweakement」という言葉。英語の得意な方でもなかなかこれが訳せる方はいないのでは思うほど、聞き慣れない言葉です。
Tweakmentとは、「微調整」という意味で、美容医療の「ボトックス」や「ヒアルロン酸」などの「注入治療」を用いて、顔のシワを目立たなくしたり、ボリュームが少なくなった部分を少し膨らませたり、法令線を薄くしたりする、いわゆる「切らない治療」のことを指します。
これの考え方を「歯」に適用したのが「Tooth Tweakment」。「歯の微調整」というところですね。前回、Tooth Tweakment の概要について書いた記事はこちら↓
人生を変えるまでの変化!?歯の「微調整」でできること
さて、歯のTweakement(微調整)とは、どんなことでしょうか。
Tooth Tweakement という言葉を作り出したのはイギリスの歯科インフルエンサーのようです。そのユニークな命名から、英国内ではファッション雑誌などでもよく取り上げられています。
その中の一つ、戦前よりヨーロッパやアメリカ、南米などで出版されている「Glamour」のオンライン版で、この「歯の微調整」を体験した女性の記事がありました。
もともと歯軋りで歯がすり減り短くなっていたところに、犬がぶつかってきてさらに歯がかけてしまった・・・(!!)。歯科医院に飛び込むと、全ての歯を削ってセラミックを貼り付ける治療方法を提案されます。
しかし、彼女が気になっているのは「先端部分のすり減りや欠け」だけ。歯を削るのには抵抗があったので、別の歯科医師のもとを訪れたときに聞いた治療法が、「Tooth Tweakement」。
「Tooth Tweakement」は、特にある特定の治療を指すわけではなく、このブログでもたびたび紹介している「ミニマル歯科治療」というべきちょっとした治療で大きな効果を出せる治療方法全体のことを指します。
歯が削れて短くなり、若々しさが失われてきたと感じていたこの女性に提案された「Tweakment(歯の微調整、もしくはミニマル治療)」は、ホワイトニングと、その後のコンポジットレジンによるダイレクトボンディング。歯が削れて短くなった部位だけに、コンポジットレジンという白い材料を接着させる治療法です。
ホワイトニングで歯を白く、明るくした後に、コンポジットレジンで短くなった歯を修復していきます。
長年かけて少しずつ短くなった歯が、一気にもとの長さを取り戻すのですから、はじめは違和感が強く、慣れるのに時間がかかり治療を後悔した時期もあったとか。しかし次第に気にならなくなり、何よりも周りの人に歯の美しさを指摘されるようになったことで、まるで「人生が変わった」かのような喜びを味わっている、という記事でした。
Tooth Tweakment は決して万能ではないが、必ず知って欲しい治療。
ミニマル歯科治療は誰にでも魅力的に響く言葉ですが、その欠点も理解してもらわなければなりません。
コンポジットレジンは、食生活などの個人差はありますが、時間とともに着色などの劣化が見られることがあったり、あまり固いものを食べたり歯軋りが強い方は欠けてしまったりすることがあります。
ただ、着色が起これば磨けばいい、欠けたら修理すればいい、というのがコンポジット修復の素晴らしいところ。定期メインテナンスによるクリーニングが大切なのは、いうまでもありません。
こちらのブログのミニマル治療についての記事でも何度も触れてきた通り、このような「手間」を少しかけながら、それでも歯を削らずに保存する価値を選ぶ、というのがこの方法の考え方。一度治療したら、それで一生大丈夫、とは思わないことが大切です。
一般の方にわかりやすいようにと、ミニマル歯科治療、と私が勝手に名付けて呼んでいた「歯をなるべく削らない小さな治療」。
英国ではボトックス治療などで馴染みの深い「Tweakment」という単語を利用して、「Tooth Tweakement」というこれまた一般の人にわかりやすい名前で呼ばれていたことに、驚きとともに、治療の広がりを願う歯科医師の努力を思わずにいられません。
さあ、私もまたまた、歯を守るための情報をこれからもどんどんお知らせしていきたいと思っています。
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